RADICA 株式会社ラジカルのオートバイフレーム理論をインタビュー形式でご案内。

「見極める」……深化したフレーム修正・補強に真骨頂。

オートバイのフレームは生きている。「フレーム全体を整える=チューニング」はラジカルの真骨頂。衝撃を受けた箇所には修正を。変形しがちな部分には補強を。 つねに変形しているフレームをひとつの構造体として考え、想像力を働かせて、見極める。 長年培われた「勘所」がフレーム修正機とシンクロする瞬間。

フレーム修正機で歪みを見極める

■フレーム修正機ってそんじょそこらには……。
内海 ないでしょうねえ。

■使い方もなにも素人には未知の機械。
内海 フレームをセットして固定したら、ネック部分に先端の尖った棒を差し込んでレーザーポインターを照射します。正常なら先端中央に当たるんだけど、左右どちらかにずれていると……。

■ゆがんだり曲がったりしていると。
内海 まずはなぜ曲がったのかを考えます。タイヤ、フロントフォークからステム、そしてフレームに力が伝わっていったのはどの方向なのか。横からの衝撃もある場合、フレームがどこでその力を受けたのか。それを見極める目がないと修正は出来ません。そこがウチの真骨頂でもある。

■見極めた先の作業は?
内海 理屈的には加わった方向と逆に引っ張れば戻る。そのための棒をつけてジャッキで押したり引いたり……人間で言えば整体みたいなことなんですけど、そこには勘所があってね。

■カンドコロ! 職人っぽいな〜。
内海 局部的に曲がったところだけを直してもダメなんです。鉄パイプで組まれたオートバイのフレームというより、ひとつの構造体として捉えて全体を直さないといけない。例えば四角いものは変形すると一度ひし形になって、戻る。完全に戻り切らずに若干ひし形になっている部分をキチンと四角に戻してあげるのがフレーム修正です。

■俺のバイク、ひし形かも(笑)。
内海 構造物や建物にはゼロ点がある。小さな家だろうがスカイツリーだろうが出発点はゼロ点。フレームを設計する時のゼロ点はスイングアームのピボットです。ドライブシャフトに対するスイングアームのピボット位置が決まることでフレームの大きさや高さが出る。そこがオートバイのはじまりです。

■エンジンありきだと思ってました。
内海 バイクによっては左右非対称のフレームもある。車体のセンターはどこなのか。メーカーの設計者がどういう意図で作ったのか。そこまでイメージ出来ないとフレームとお付き合いする資格はない。意味があってのカタチなんでね。

メーカーの設計者がフレームに求めたイメージを基に補強チューニング

■曲がりを直すのが修正。補強というのは?
内海 フレームはつねに変形している。生きています。衝撃や応力がフレームに伝わった時、変形しがちな弱い部分に補強を入れる。

■修正機で曲がりを見つけるのとは違う。
内海 フルブレーキをかけた時のフロントフォークのたわみ。コーナリング中のヨーイング。遠心力、向心力、タイヤのグリップ、路面からの摩擦、ねじれ……そのすべてをイメージするんだけど、構造体の中で出来ることは限られるし、たくさん補強を入れればいいわけでもない。フレームってとっても面白いんです。

■レーサー以外で内海さんが「このフレーム、よく出来てるなあ」と思ったバイクはありますか?
内海 GSX750E4もしくは3型カタナ。

■E4! 久しぶりに名前を聞いた気が(笑)。
内海 E4も3型もアルミフレームへの過渡期。最後の鉄フレームだから、スズキが「これ以上の材質ねえだろ!」ってやってきた感がありますね。クロモリに近いキンキンの炭素鋼でむちゃくちゃ硬い、お見事ってくらい。普通の人はほとんど知らないけど(笑)。

■見た目じゃ……。
内海 まず分からない。でもサンダーで削れば火花の色で分かる。普通は明るい電球の色、炭素がたくさん入ってると濃いオレンジ色。火花を見ながら「あ〜、この色好きだなあ」って酔いしれてます(笑)。

フレームの素材によって修正や補強は変わる


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