RADICA 株式会社ラジカルのバイクショップになるまでをご紹介

大学時代にアメリカ横断ツーリング

 学生時代からバイク好きだったラジカル代表・内海達晃(たつあき)は大学4年生の夏、大きな旅に出る。高校生からのバイク仲間、横田正彦氏(現クラスフォーエンジニアリング)も一緒だった。

内海 その頃『ライスカレー』ってドラマがあって、カナダにカレーの店を出すの出さないのって話なんだけど、北海道とカナダって雰囲気的にだぶるでしょ? それで毎年北海道行ってた仲間とカナダに行こうぜって盛り上がって4年の夏、卒論も何も全部すっ飛ばして(笑)。

 ロスで購入したXL600で北上。カナダ横断、そしてニューヨークからロスまでアメリカを横断する3ヶ月のビッグラン。そんな中で立ち寄ったバイクショップが人生を変える。

アメリカツーリングスナップ写真より

アメリカツーリングスナップ写真より

アメリカツーリングスナップ写真より

内海 当時日本のバイク屋って自転車屋に毛が生えたような感じでね。ショールームがあっても作業スペースはごちゃごちゃで汚かったり。でもアメリカのショップはキレイで広い! 整備スペースもメカニックひとりにリフト1台みたいな感じでもう……カルチャーショックですよ。

 帰国後、就職活動という現実に直面。
 バイク雑誌をめくっていると求人募集に目がとまった。ツーリングのためビザを取りに行った赤坂の大使館。近くにあった1軒のバイク屋さん。ショールームにはビモータが展示されていた。求人募集を出していたのはそのショップ、福田モータースだった。

内海 ここしかねえ!ってすぐ応募したら偶然社長さんが僕と同じ大学だったってことで即採用(笑)。メカニックになりたかったけど任されたのは工場の管理業務。サービスフロントみたいな。そこでバイク屋という仕事の流れを覚えました。

 1年後、アメリカ帰りの仲間がふらりと現れる。手にしていたのはパーツメーカーのカタログだった。

内海 バンス&ハインズにUSヨシムラ。知ってはいたけどカッコ良くてね。ちょうどアメリカで知り合った日系人のバイク屋がいたんで「頼めば送ってくれるんじゃない?」って。

 そして1988年。内海と横田氏が横浜本牧で立ち上げたのがクラスフォーエンジニアリングだ。整備とカスタム、アメリカからの輸入パーツ販売。まだ日本のバイク界に「カスタム」という言葉がない時代。

内海 用品店でカスタムパーツなんて探してもあるのはウインカーくらい。車検制度も厳しかった。ブレーキホース換えてるだけで通らなかったもん。逆にブレーキホース換えてるだけで「スゲエ!」って言われたんだから(笑)。オイルクーラーなんかついてたら大変だったんだから!(笑)そこを改造するんだからアンダーグラウンドですよ。今考えるとメチャクチャやってたなあ。切った貼ったは当たり前。自分達で工夫してね。

 輸入パーツを扱いながらオリジナルパーツも作りはじめる。オリジナル第1号はキャリパーサポート。NC旋盤でいっちょアガリではなく、アルミの部材から手で切り出し、削って磨いて……という地道な作業だった。

内海 それでも良かったというか逆にそれが良かった。原点ですよ。イエローコーンの杉田さんと意気投合したり、いろんな出会いもあった。そんな流れでミッドナイト、ツバサ、ワン&オンリー、ライトスタッフ……そのへんが夜の第三京浜に集まり出して「カスタム」という言葉が確立されたんですね。

 クラスフォーが日本中に発信していた輸入パーツも、オリジナルパーツも、「第三京浜に集まる」というシーンも全部ひっくるめて「誰も見たことがない世界=カスタム」が現れた。

内海 新しい時代の幕開けでしたよね。あの時間と空間がなかったら今のカスタムもなかった。あったにしてもスタイルがどうなっていたか。いまだにZだニンジャだカタナだって人がいるのは、根っこの部分にあのブームがあったからに他ならないと思います。

 AMAスーパーバイクやモリワキモンスターをモチーフにいろいろなデザインが加味されて出来上がった「第三京浜スタイル」は時代を席巻する。
 しかしその火種は、ほんの数人の若者が絶やさなかった「バイク熱」だったのである。

内海 そこには僕達だけじゃなく、同じような感覚を持ったやつらがいて、大きなエネルギーになっていった。それが上手い具合に時代にはまったんじゃないかな。ここから先もあそこまでの盛り上がりは起きないと思うけど、回顧録ばかりでそこにこだわるつもりはない。時代も、乗る人の感覚も変わっていく。対応はするけど声高にZだCBだって言うつもりもないしね。

 クラスフォーでの7年を経て1995年、ラジカルを立ち上げた内海。
 そのバイク熱は消えることがない。

アメリカツーリングスナップ写真より アメリカツーリングスナップ写真より


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